海洋散骨とは?メリットや散骨の流れ、注意点をご紹介

最終更新日:2025.01.26

海洋散骨とは?

近年、海洋散骨が葬送のひとつとして注目を集めています。あなたも今まさに、海洋散骨に興味をお持ちなのではないでしょうか。

しかし、海洋散骨は通常の葬送と異なるもの。そのため、どのようなものなのか、どんなメリットがあるのか、どのような流れで行なわれるのか、わからないことが多いでしょう。

そこでこの記事では、海洋散骨の基礎知識からメリット、散骨の流れ、さらには海洋散骨の注意点をご紹介します。

海洋散骨を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

海洋散骨とは?

海洋散骨とは、故人の遺骨をパウダー状に粉骨し、海に撒く葬送方法のことです。近年、従来の墓地埋葬や納骨堂といった葬送方法に代わる選択肢として注目を集めています。

特に故人の遺志や、自然回帰への想い、さらには経済的な理由など、様々な背景から選ばれています。「海への回帰」というロマンチックなイメージも、海洋散骨が注目されている理由の一つと言えます。

海洋散骨の主な方法とそれぞれの料金相場

海洋散骨の方法には、大きくわけて以下の3つがあります。

委託散骨
遺骨を業者に預け、業者が散骨を行なう方法です。故人様を偲びたいけれど、船に乗るのが難しい人や、費用を抑えたい人におすすめです。料金相場は5万円~10万円で、具体的な料金は散骨場所やオプションによって異なります。
チャーター散骨
船をチャーターし、遺族自身で散骨を行なう方法です。遺族や親しい人たちだけで船を貸し切り、ゆっくりとお別れをすることができます。プライベートな空間なので、周りを気にせず故人と最後の時間を過ごせます。料金相場は10万円~で、船の大きさや航行時間、オプションによって変動します。
合同散骨
複数の遺族が一つの船に集まり、散骨を行なう方法です。ほかの方法より費用を抑えられ、料金相場は3万円~となっています。具体的な料金は、散骨場所やオプションによって異なります。
また、海洋散骨ではオプションというのが用意されています。献花や献酒、散骨証明書の発行、写真や動画撮影などです。これらのオプションを追加すると、料金も上がります。しかし、より充実した散骨にすることができます。 それぞれのプランにメリット・デメリットがあり、料金も異なってきます。どの方法にするかは、遺族の希望や予算に合わせて検討することが重要です。

海洋散骨のメリット

海洋散骨には次のようなメリットがあります。

墓地埋葬や納骨堂に比べて費用を抑えられる

海洋散骨は、墓地埋葬や納骨堂に比べて費用を抑えられるものです。墓地を購入する場合、土地の価格や墓石の費用、永代使用料など、多額の費用がかかります。また、納骨堂であっても、年間の管理費や納骨費用など、継続的な費用負担が発生します。

一方、海洋散骨は、これらの費用に比べて比較的安価で済みます。散骨の方法や業者によって費用は異なりますが、シンプルなプランであれば、墓石代や永代使用料といった高額な費用がかからないため、経済的な負担を軽減できます。

また、お墓の維持管理も不要となるため、長期的な費用負担を抑えられます。

墓地の維持管理が不要となるため、後継者への負担を軽減できる

海洋散骨には、墓地の維持管理が不要となるため、後継者への負担を軽減できるというメリットもあります。従来の墓地埋葬の場合、お墓の清掃や草むしり、お供え物の準備など、定期的な管理が必要となります。これらの管理は、後継者にとって時間的にも金銭的にも大きな負担となる場合があります。

特に、後継者が遠方に住んでいる場合や、仕事などで忙しい場合は、お墓の管理が困難になるケースも少なくありません。海洋散骨を選択することで、後継者はこれらの負担から解放され、故人を偲ぶことに集中できます。

また、少子高齢化が進む現代社会において、お墓の後継者問題に悩む方も少なくありませんが、海洋散骨は、このような問題の解決策としても有効な手段となります。

自然に還ることができる

故人が自然に還ることができるという点も、海洋散骨の大きなメリットです。海は生命の源であり、地球上の多くの生物にとって大切な場所です。海洋散骨は、故人の遺骨を海に還すことで、自然の一部となることを意味します。これは、自然を愛した故人にとって、ふさわしい埋葬方法と言えるかもしれません。 また、散骨された遺骨は、プランクトンなどの微生物によって分解され、海の生態系の一部となります。自然の循環の中に還っていくという考え方は、近年注目されている自然葬の思想にも合致しており、環境への負荷が少ない埋葬方法として選ばれています。

海洋散骨がおすすめの人

では、どのような人が海洋散骨に向いているのでしょうか。ここでは、海洋散骨がおすすめの人をいくつかピックアップしました。

お墓の後継者がいない人

少子高齢化が進むと同時に、お墓の後継者問題に悩む人も増えています。お墓は、建立した後も継続的な管理が必要です。後継者がいない場合、お墓の管理が難しくなり、無縁仏墓となる可能性も出てきます。

しかし、海洋散骨は後継者がいなくても選択できる埋葬方法のため、このような不安を解消できます。また、散骨後は自然に還ることができるため、子孫に負担をかけることなく、故人を弔うことができます。

墓地埋葬に費用をかけたくない人

墓地や埋葬にかかる費用は決して安くはありません。墓石の購入費用や永代使用料、管理費など、様々な費用がかかります。特に都心部では、墓地の価格が高騰している傾向にあります。

海洋散骨は、墓石代や永代使用料などが不要なため、従来の埋葬方法に比べて費用を抑えることができます。費用を抑えたい方にとって、海洋散骨は現実的な選択肢と言えます。

海が好きな人

生前、海を愛し、海に深い想い入れがあった方にとって、海洋散骨は理想的な弔い方と言えます。大海原へ還ることで、自然と一体となり、永遠の安らぎを得ることができます。

また、クルーズなどを利用した散骨であれば、故人のゆかりの地や思い出の海域で散骨することも可能です。故人の好きだった場所、美しい景色の中で最期の別れを告げることができるのは、海洋散骨ならではの大きな魅力です。

海洋散骨は自分でできる?

海洋散骨は、法律で明確に禁止されているわけではありません。そのため、ご自身でも海洋散骨を行なうことは可能です。しかし、自治体によっては、海洋散骨に規制やルールを設けているところもあります。それをしっかりと確認し、ルールに則った上で、海洋散骨を行なう必要があります。

また、散骨を行なう海域によっては、漁業権や港湾法などの関係法令に触れる可能性もあります。関係機関への確認は事前に必ず行ないましょう。

自ら行なうより、専門業者に依頼を

海洋散骨は、自ら船を手配して行なうことも可能ですが、法律やマナーに関する知識、航海の技術、粉骨の手配など、様々な準備が必要です。不慣れな人が行なうと、思わぬトラブルに見舞われることも否定できません。そのため、海洋散骨を検討する際は、専門業者に依頼することをおすすめします。

業者は、散骨に関する豊富な知識と経験を持っており、適切な方法で散骨を行なってくれます。また、粉骨の手配や散骨後のサポートなども行なってくれるため、遺族の負担を軽減できます。費用は業者によって異なりますが、散骨にかかる費用や手間、そして何より故人の想いを尊重し、適切な形でお見送りするためにも、専門業者への依頼を検討しましょう。

海洋散骨の注意点とは?

必ず粉骨をしなければならない

海洋散骨を行なう際には、遺骨をパウダー状に粉砕する「粉骨」という作業が必要です。これは、故人の尊厳を守り、また海洋環境への影響を最小限に抑えるための大切なプロセスです。

粉骨を行なうことで、遺骨は速やかに海水に溶け込み、自然の一部へと還っていきます。法律で義務付けられているわけではありませんが、厚生労働省のガイドラインでも推奨されています。

一度散骨してしまうと、遺骨を回収できない

海洋散骨は、文字通り海に遺骨を還す行為です。一度散骨を行なってしまうと、遺骨を回収することは不可能です。そのため、散骨を行なうかどうか、どの海域で行なうかなど、家族や親族で十分に話し合い、納得した上で決断することが重要です。

後になって「やっぱり…」と後悔しないためにも、慎重な検討が必要です。

散骨を行なう場所によっては、自治体や漁業組合などの許可が必要になる

海洋散骨は、どこでも自由にできるわけではありません。場所によっては、自治体や漁業組合などの許可が必要となる場合があります。特に、港湾区域や養殖場付近など、漁業活動に影響を与える可能性のある海域では、散骨が禁止されているケースもあります。

散骨を希望する海域の規則を確認し、必要な手続きを踏むようにしましょう。専門業者に依頼する場合は、業者が適切な手続きを行なってくれるかどうかも確認しておきましょう。

違法な散骨業者に気をつける

残念ながら、海洋散骨業界には、悪質な業者も存在します。たとえば、許可が必要な海域で無許可で散骨を行なったり、粉骨を適切に行わずにそのまま海に遺骨を投棄したりするなど、法律やマナーに反した行為を行なう業者もいます。このような業者に依頼してしまうと、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

信頼できる業者を選ぶためには、厚生労働省のガイドラインを遵守しているか、実績や評判はどうか、そして、こちらの質問に丁寧に答えてくれるかなどを確認することが重要です。複数の業者を比較検討し、納得のいく業者を選びましょう。

海洋散骨の専門業者の選び方

ここでは、海洋散骨を提供している散骨施工業者の選び方をご紹介します。

料金プランやオプション料金などが透明性のあるものになっているか

海洋散骨の費用は業者によって大きく異なります。基本料金だけでなく、粉骨費用、献花費用、チャーター船の有無、乗船人数による追加料金など、様々な要素で料金が変動します。そのため、複数の業者の費用プランを比較検討することが重要です。

公式ウェブサイトで料金体系が明確に提示されているか、不明瞭な点がないかを確認しましょう。また、追加料金が発生する可能性についても事前に問い合わせておきましょう。低価格を謳う業者だけでなく、サービス内容と料金のバランスを考慮し、納得できる業者を選ぶのがポイントです。

厚生労働省のガイドラインを遵守しているか

海洋散骨は法律で明確に規制されているわけではありませんが、厚生労働省が策定した「海洋散骨に関するガイドライン」が存在します。このガイドラインには、散骨を行なう際の適切な方法や注意点が示されています。業者を選ぶ際には、このガイドラインを遵守しているかを確認することが重要です。

具体的には、粉骨の適切な方法、散骨場所の選定、環境への配慮などが含まれます。ガイドライン遵守を明記している業者を選ぶことで、安心して散骨を依頼できます。

どのくらいの実績や経験があるか

海洋散骨の実績と経験は、業者の信頼性を判断する上で重要な要素です。長年の実績を持つ業者は、様々な状況に対応してきたノウハウと経験を蓄積しています。公式ウェブサイトやパンフレットなどで、散骨実績やこれまでの活動内容を確認しましょう。

また、実際にサービスを利用した人の口コミなども参考になります。実績豊富な業者を選ぶことで、スムーズかつ丁寧な散骨を実現できます。

サポート体制が充実しているか

海洋散骨は、故人の遺族にとって精神的に負担のかかるものです。そのため、丁寧で親身なサポート体制が整っている業者を選ぶことが重要です。

問い合わせへの対応の迅速さ、質問に対する丁寧な説明、散骨後のアフターケアなど、様々な面からサポート体制を確認しましょう。

また、散骨に関する疑問や不安に寄り添い、適切なアドバイスを提供してくれる業者であれば、安心して大切な故人を託すことができます。

海洋散骨の流れ

実際にどのような流れで海洋散骨は行なわれるのか。ここでは、海洋散骨の大まかな流れを見ていきましょう。

散骨業者への問い合わせ

まず、複数の散骨業者に問い合わせを行ないます。インターネットで検索したり、葬儀社に相談したりすることで、信頼できる業者を見つけることができます。各業者のウェブサイトやパンフレットでサービス内容や料金プランを確認し、疑問点があれば電話やメールで問い合わせてみましょう。

海洋散骨の申し込み

希望する散骨業者を決定したら、正式に申し込み手続きを行ないます。業者によっては、ウェブサイトからオンラインで申し込みができる場合もあります。

申し込みの際には、故人の氏名や生年月日、希望する散骨プラン、散骨日などの必要事項を記入します。また、遺骨の引き渡し方法や支払い方法についても確認し、契約内容をしっかりと理解した上で契約を締結しましょう。

遺骨の引き渡し

散骨業者に遺骨を引き渡します。業者によっては、自宅まで遺骨を引き取りに来てくれるところもあります。

また、遠方の場合や直接持参することが難しい場合は、郵送で送ることも可能です。郵送の場合は、破損や紛失を防ぐために、梱包方法を業者に確認し、適切な方法で送付しましょう。

また、遺骨の送付状を作成し、同封することも忘れないようにしましょう。

遺骨の粉骨

海洋散骨では法律に基づき、遺骨をパウダー状に粉骨する必要があります。この作業は、専門の業者によって行なわれます。粉骨は、故人の尊厳を損なわないよう、丁寧に執り行なわれます。

業者が粉骨まで一括して請け負う場合が一般的ですが、既に粉骨済みの場合はその旨を伝えましょう。

散骨当日

出港・散骨ポイントへの移動

散骨当日は、指定された港に集合し、散骨船に乗船します。乗船前に、散骨業者から当日の流れや注意事項について説明を受けます。散骨ポイントは、故人の希望や業者の推奨する場所などから選択できます。

穏やかな海域や景観の美しい場所など、故人にふさわしい場所を選びましょう。移動中は、故人を偲び、思い出を語り合う時間となります。

散骨セレモニーの実施

散骨ポイントに到着後、散骨セレモニーを行ないます。献花や黙祷、献酒、焼香など、故人の霊を弔う儀式を行ないます。また、故人へのメッセージを添えた手紙を海に流したり、思い出の品を一緒に散骨したりすることもできます。

散骨方法は、粉骨した遺骨をそのまま散布する方法や、水溶性の袋に入れて散布する方法などがあります。散骨業者と相談し、希望に沿った方法を選びましょう。セレモニーの内容は、宗教や宗派、個人の希望に合わせて自由にカスタマイズできます。

帰港

散骨セレモニーが終了したら、港へ帰港します。散骨を終えた後は、喪主や遺族代表がお礼の挨拶を行ない、散骨式は終了となります。

以上が海洋散骨の大まかな流れです。業者のサービス内容やプランによって、多少の違いはありますので、詳細に知りたい人は事前に確認することをおすすめします。

まとめ

海洋散骨は、費用を抑えられ、後継者への負担も軽減できる埋葬方法です。そのため、お墓の後継者問題に直面していたり、故人が海を愛していたりする人たちから注目を集めています。大切な方の最期をどのように弔うか…?その候補のひとつとして、ぜひ海洋散骨を選んでみてはいかがでしょうか。